Myブックストーリー「体育会系の悲しい読書遍歴」
おこがましくも本を大学に寄付させていただきましたが、大学時代はあまり本を読んでません。稽古と酒の毎日の中、柔道部仲間に「頭が筋肉」と罵倒されドストエフスキーなど読んでいると「読んでるふりしてんじゃねーよ」と嘲笑される非文化的環境が災いしました。松山で過ごした少年時代、小学校ではジュール・ベルヌを読みふけり、中学ではモーパッサン、高校ではマルロー、カミュからパスカル、デカルトまで手を伸ばしたフランス系の文学哲学少年が哀れにも大学の体育会系の生活で野生化してしまったのです。
クラブが終わった4年次にこれではいけないと山本周五郎に取り組みましたが面白い、面白い。(ちなみに同時期にデビュー当時の村上春樹を読みましたが2冊であっさり卒業。)就職の面接でも周五郎路線は受けがよく、これは当り。そのまま池波正太郎、藤沢周平、司馬遼太郎に突っ込んで「オヤジ読書」一直線。飲みながらの「歴オヤジ」たちとの時代劇話、歴史話は楽しいのなんの。
子どもができて、「ゲド戦記」のグイン、「ネバーエンディングストーリー」のエンデを読んで聞かせようとしたのですが、子どもはアンパンマンの方が好きらしく、自分だけで夢中で読みました。その後の単身のタイ生活、座右の書はなぜか「史記」でした。古い中国の英雄、美女、賢者、庶民たちの生き生きとした姿は国境を越えた深い人間観を与えてくれた気がします。
知的レベルが退化してるだけの人生に嫌気がさして、最近はウェーバーやデュルケームを読んでます。もう一度少年時代の知性を取り戻したいと思っていますが、今も柔道部仲間の「読んでるふりしてんじゃねーよ」という悪魔の声が聞こえてきます。知識人になるのも楽ではありません。
1982年法学部(柔道部)卒 廣瀬聡
(2010年12月「古本募金」者)












